恐怖の泉

実話系・怖い話「白い着物の女の霊」

いまから20年ほど前、父が建てた家に家族5人で暮らしていた時の話です。
当時小学校4年生だった末の弟は、その家でずっと白い着物の女の霊を見続けていたそうなのです。

女の霊が現れるときは決まって階段をあがった踊り場のところに立っていて、階段下正面にあるトイレに入っていく弟をじっと、無表情で見つめていたそうです。
初めはなにがなんだかわからず、弟は「お客さんかな…?」と思っていたらしいですが、人間じゃない、おばけだ!と気づいてからは怖くなってトイレをサッと済ませたり、それまで開けっ放しで入っていた扉を閉めるようになったそうです。
いつもいるという訳ではなかったらしく、ふと見ると「あ、いる…」という感じだったそうで、弟はそのうち小は庭の用水路で済ませるようになり、大はバタバタバタっと走って行って驚くほどの早さで済ませ、またバタバタバタっと部屋に戻ってくるようになりました。
両親はそんな弟を行儀が悪いと叱りつけ、私と上の弟は「こわがり!ビビり屋!」と茶化しいじめたのですが…弟はなにも言わずただただ黙っていました。

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この話を打ち明けられたのはそれからだいぶ後、弟も大きくなって、とある事情で家を手放して家族が離れ離れになり久々に再会した時でした。
「実は…」と言いにくそうに、大げさでもなく淡々と話す弟に
「なぜその時に言わなかったのか?」
「黙っててこわくなかったのか?」
とみんなで質問責めにしたのですが
「…言っても信じてくれると思わなかった。誰も信じてくれないことと、誰かに言ったらおばけが仕返しに来るんじゃないかと思って、怖かったから我慢していた」
と。
なるほど…と、その女の霊の話を聞いた時はゾッとしてしまいました。

弟は真面目な性格で嘘をつくようなタイプではありません。それにそんな嘘をついたところで何にもなりません。恐らく本当に体験していたのでしょう。

ちなみに女の霊は悲しいのか怒っているのかまったくわからない、ただただ無表情だったそうです。
白い着物で顔までもが白っぽく、ぼわーっと透けるような浮きあがるような…なんとも不思議な雰囲気で、人間とは違うそうです。
霊といえば恐ろしい表情を浮かべていたり、うらめしいことを言ったりという話ばかりですが、弟が見たように静かでそこにただいる、というものも多いのではないでしょうか。

結局その白い着物を着た女の霊の正体はわからないままですが、余談があります。

弟がその話をすると「…あ、そういえば」と母も不思議な話を思い出したように打ち明けました。
母は叔母(母の妹)が泊りがけで遊びに来た時、飲んだり食べたりしながら夜遅くまで尽きない話をしていると、廊下とリビングを隔てたすりガラスの引き戸に白いものがひらっと見えたことがあるそうなのです。
うるさくしたから祖母が目を覚まして起きてきたのかな?と見に行ったものの、誰もいない。
白いものは布がひらっと舞いあがってスッと消える感じだったそうですが、叔母も見たので見間違いではないそうです(一応叔母にも確認してみましたが、同じことを言っていました)。
白い布って、もしや…?と、一連の話を聞いた時には家族全員鳥肌がたちました。

ちなみにその家は現在別の方が住んでおり、今もまだ同じままあります。

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