恐怖の泉

実話系・怖い話「彼は私を誘いにきたのだろうか」

彼を助手席に乗せて、車を運転していました。
すると、前方に長い車列が見えてきて、渋滞しているようでした。

事故でもあったのか、全く動く気配がありません。私は車から降りて、前の車の人に話を聞こうと思いました。
と、前の人は車の横に立っていて
「よう!」
と、手を上げて私に笑いかけています。

それは、父でした。

ずいぶん久しぶりです、というより、(あ、亡くなっていたんだ)と思い出すのと、目覚めるのが同時でした。夢を見ていたのです。
それに、同乗していた彼は、昔付き合っていた人で、もう三年以上会ってもいないのに、夢の中ではそのことも忘れていました。
ふたりに会って、ただただ懐かしく、しばらく夢の余韻のなかにおりました。

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それから間もなく、彼が交通事故死したことを友人から聞かされ、足が震えました。
反対車線に飛び出し、崖に激突したそうです。
私が夢に見た日は、葬儀の前後だったように思えました。

あの夢に、何か意味があったのでしょうか。
夢の中で、彼の声は聞いていません。黙って私の横にいました。
私は、どこへ行こうとしていたのかもわからず、ただ山の方に向って車を走らせていました。
彼は、私と一緒に逝きたかったのだろぅか・・・・。
でも、私の父がそれを止めたということになるのでしょうか。

そんなこと有り得ないと理性では思いながら、誰にも話せず、今も心に残っている体験でした。

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