恐怖の泉

実話系・怖い話「写った小さな丸」

これは私がまだ小学生の頃に体験したお話です。

私たちの代での修学旅行は、温泉が湧く関東の某場所でした。私はカメラで風景を撮ったりするのが大好きなので、この修学旅行にもカメラを持ち込み、初日からフィルムのことを考えずいろいろなものを撮り続けていました。

旅行初日、すべての日程を終えて宿泊する旅館で食事やお風呂を済ませた私たちは、自由時間となりました。
消灯まではまだまだ時間があったので、私はカメラを持って各部屋を写真撮影に回ることにしました。
部屋ではクラスメイトがゲームをして遊んでいたり、テレビに夢中になっていたり、プロレスごっこに夢中になっていたり、各々が好きなことをやって時間を潰していました。
とても楽しい一時だったと記憶しています。

旅行2日目は、自殺の名所としても有名な「華厳の滝」を見て回りました。
私はこの時も撮影にただただ夢中になってシャッターを押していて、気がつくと24枚撮りのフィルムを全部使いきってしまうぐらいでした。
今思えば滝の写真しか撮らず異常とも思える行動ですが、その時はなにかに心を奪われていたかのように撮り続けていたのを覚えています。

スポンサーリンク

そんなこんなで楽しかった修学旅行もあっという間に終わってしまい、普段通りの学校生活に戻りました。
その時撮った写真も現像に出し、出来上がったものをみんなに見せようと学校へ持っていきました。
すると一人の男子が、私の撮影した写真を見たさに走って近寄ってきたのですが、その時バランスを崩して倒れ目の上を切る怪我をしてしまったのです。
クラスの保険委員に保健室に連れて行かれて、帰ってきた男子の目の上には大きな絆創膏が貼られていたものの、大事には至りませんでした。

その騒ぎの後、写真を見ていた女子が一枚の写真の異変に気がつきます。
それはプロレスごっこをしていた部屋の写真でした。
4人の男子がふざけあってプロレスの技をかけているところを撮ったものなのですが、その写真は他と違い、写真全体に小さい丸のようなものがたくさん写っていたのです。
レンズでも汚れていたのかなと思いましたが、その前後で撮った写真にはそのようなものは写っていません。ただ何か雰囲気の悪い写真だなという印象を私は受けていました。
そして目を怪我した男子も、なにか嫌な感じだと言ってあまり写真を見ようとはしませんでした。

そして翌日。今度は別の男子が体育の授業中に、投げたボールが目にあたって眼球内出血を起こす怪我をしてしまいました。
さらには、また別の男子が友達とふざけている際に指が目に入ってしまうという事故が起きました。
この二人も、あの不思議な小さい丸の写真に写っていたメンバーだったのです。
数日後には、その写真に写っていた残りのもう一人も自宅で目に怪我をしていました。

その写真に被写体として写った4人共、目に何かしらの理由で怪我を負ったのです。

気になった私は、たまたま繋がりのあった霊感のある先生に相談しました。
例の写真を見せた時、先生は言葉を失っていました。
そしてゆっくりとした口調で説明してくれたのです。

その写真に写っている小さい丸のようなものは、すべて小さな目だというのです。
さらに写真を横にして見ると、1つの大きな目玉がレンズを覗いているように写っているんだよと言うのです。
まさか…と思い写真をもう一度横にして見せてもらうと、確かに人の目がドアップで写り込んでいました。思わずゾッとしました。
そして被写体となった4人の男子には、この目の霊障が出てしまったのだろうと言うのです。
目の主は古い時代からの霊体だと言うので、まさか華厳の滝と関係が?と思ったのですが、詳しくは話してくれませんでした。

写真は先生が知人の住職にお祓いしてもらうとのことで、ネガと一緒に引き取って頂きました。
今でも、この出来事は忘れられない体験となっています。

スポンサーリンク

TOP