恐怖の泉

人間の怖い話「チンピラに絡まれて」

これはバブルが到来して、ディスコブームがはしりの頃のお話です。

私は地方出身で、就職と共に東京へ出てきたばかりでした。その会社は寮があって私もお世話になっていたのですが、そこで気の合う仲間で集まったりと楽しい社会人生活を過ごしていました。
寮もきっちり管理されていて至れり尽くせりな感じで、その当時は本当にイケイケでした(笑)

そんな状態でしたから、夜になると
「ディスコに遊びに行こうよ!」
となるわけです。
そして歌舞伎町へと足を運び、毎晩のように遊びました。

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私たちの行きつけは当時若者が集まっていた人気の「ニューヨーク・ニューヨーク」という所です。
そこは本気で汗を流して踊るというスタンスのお店で、かかる曲も若者にとってはたまらない歌ばかり。何よりも1,000円でバイキングとフリードリンクというのは、とてもありがたいシステムで重宝しました。お酒はおいてなかったので、健康的で良心的なお店でした。

その頃の新宿の夕方は溢れかえるディスコ通いの人だかりで、それはそれは南口通路なんかものすごいラッシュでした…。
売り場もずらーっと並んでいて活気があり、その場で洋服を買い揃えて着替えてディスコに向かうなんて人も多くいました。まさにバブルです。

そんなある日のこと、いつもの仲良しグループでニューヨーク・ニューヨークに行った帰り道。突然隣にいたはずの女の子が消えたんです。
あれ?っと思って来た道を探しに戻ると、なんとチンピラに絡まれてすごく怯えている彼女を発見しました。

歌舞伎町の雑踏の中、チンピラがすごんで壁に女の子を追いやりどやしていましたが、周りの人が気づく様子はありません。
これは一大事だ!と思った私は、背後から大声で
「何やってんだ!!」
とチンピラに叫びました。
するとそのチンピラはすぐさま振り返って、私の首をガシッと異常な力でつかみました。様子が明らかに普通ではなく、何かしらの薬をやっているような感じです。
チンピラは大声で奇声をあげながら私をあちこち振り回し、周りはたちまち人だかりが出来ましたが、恐怖のためか誰も近寄る気配がありません。悲鳴も聞こえた気がします。
チンピラの力はとにかく強くて、私は
『これは…もうダメかも…』
と半ば考え始めていました。

すると次の瞬間、そのチンピラめがけて若い男の人が背中に跳び蹴りをしてくれました。そして
「早く走って!!」
と叫ぶなり、走り出しました。
チンピラは前へ倒りそうになりながらも踏ん張り、その男性をものすごい形相で走って追いかけていきました。

私はその後、なんとか寮まで逃げ帰ることができました。あの時、あの男性が助けてくれなかったらどうなっていたのだろう…と、今では感謝しています。
そしてチンピラに絡まれていた当の彼女なのですが、後でわかったのですが非常識にも警察へすら連絡しないで自分だけ逃げ帰っていたようです。
その後彼女はその行動が元で仲間から外されてしまい、退職してしまいましたが…自業自得なのかなと思ってしまいます。

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