恐怖の泉

実話系・怖い話「後ろの大行列」

私が当時通っていた大学は軍隊の基地を建て替えたものらしく、夜中に兵士の幽霊が出たり、グラウンドを首のない馬が走り回っている…などと、心霊スポットしてネットで少しだけ噂になっている所でした。
しかし心霊現象を信じていなかった私は当然のように大学から徒歩数分のマンションに住み、夜まで学内で遊んだりしていました。

4年間そんな生活を続けていましたが、マンションでも学校でも不思議な現象に遭遇したことは一度もありませんでした。
それどころか実際に幽霊の噂を聞いたことすらなかったので、あのネットの噂はなんだったんだろう?という感じです。
大学の近くには自衛隊の駐屯地があるので、おそらくそこに携わっている自衛隊の方を夜に見かけた人が、兵士の幽霊が出たと勘違いしたのでしょう。
そして首のない馬云々の噂も、話が伝わっていくうちに尾ヒレがついただけに過ぎないのだと思っていました。

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ところが卒業間近となったある日、マンションの近くにある行きつけのコンビニで不思議な体験をしてしまいました。

私はレジで会計をするときに、後ろに行列ができていると財布から小銭を出すのに焦ってしまうタイプです。
「ちょっとアンタ早くしなさいよ」
と心の声が聞こえてくる気がして、そのプレッシャーが苦手なのです…。

そのコンビニは仕事帰りの人々や部活帰りの学生がよく利用しているので、夜は意外と混みます。
私はコンビニに夕飯を買いに行ったのですが、やはり混雑していました。

人を待つのも待たせるのも嫌いな私は、レジに誰も並んでいないタイミングを見計らってさっさと買い物をし、レジに行きました。
するとちょうど同じタイミングで他の客たちも買い物を終えたらしく、後ろに行列ができてしまいました。
運が悪いなあ…と思いつつも、何度も利用しているコンビニですし、そんなこともよくあることです。
面倒に思いながらプレッシャーに耐え、小銭を探しました。

私はプレッシャーをかけられるのも苦手ですが、それ以上に中途半端なことが大嫌いで、お釣りの額が中途半端だと何となく気持ち悪いという面倒なこだわりもありましたw
ですが冬で指もかじかんでいたし、小銭を探すのに手間取ってしまいます。
しかも私は目が悪いので、10円玉だと思って取ったものが5円玉だったり、1円玉だと思ったものが100円玉だったり…。
後ろの人達は「前の客遅いなあ」とイライラしてるだろうな、店員さんも「この客遅いな」と思ってるだろうな、と思うと更に焦って手元が狂います。

私はそのコンビニの常連だったので店員さんともちょっとした顔見知りです。焦る私に店員さんは「急がなくても大丈夫ですよ」と声をかけてくれました。
しかし後ろは大行列。「後ろの人待たせるのは申し訳ないんで…」と私は返しました。
すると店員さんは「えっ!?」と驚きの声をあげました。

「えっ!?」って…そんなに驚くほどのことか?と逆にこちらが驚きましたが
「あっ、もしかして私が遅すぎて皆隣のレジに移ったのかも」
と思い後ろを見ました。
すると後ろに並んでいた人達が居なくなっているどころか、店内に客は私一人しか居ませんでした。

心霊現象を信じていなかった私ですが、もしかすると軍隊の基地があった時代に生きていた人たちが気まぐれで買い物に来ていたのでしょうか。なんとも不思議な体験でした。

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