恐怖の泉

怖い昔話「歌う骸骨」

その昔、貧しかった村の若者2人が町へ出稼ぎへ向かった。
とにかく働いた2人は
「これでしばらくは稼ぎにこなくて済むな」
というくらい富を蓄え、村へ帰ろうとしていた。

ところが欲の深かった片方の男は、その稼ぎを独り占めしようと企む。
そして村への帰り道の山で、もう一人の若者を殺してしまった。

それから数年後。稼ぎも底をついた欲深い若者は再び町へ出稼ぎに向かうことにした。
するとその道中、どこからか歌声が聞こえ始める。
「こんな山奥で誰が歌っているんだ?」
歌い主を探して茂へ入ってみると、そこには人の骸骨が横たわっていた。
なんと驚くことに、その骸骨が歌を歌っていたのだ。

「これは面白い。殿様へ見せたら、一儲けできるのではないか。」
そう思った欲深い若者は頭蓋骨を抱えて、町へと向かった。

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町へ着くと早速、殿様の元へと足を運んだ若者は歌う骸骨の話を持ちかける。しかし当然ながら、そんな話は誰一人信じようとしない。
そこで欲深い若者は
「それではもしこの骸骨が歌ったら、私の望む額のお金を頂きたい。もし歌わなかったら、私の首を差し上げます。」
と賭けをした。
殿様は「ほう、面白い」と賭けに乗ってきた。

そして欲深い男が、骸骨へ歌を歌うように催促するも、うんともすんとも答えない。
「一体どうしたっていうんだ。ほれ、歌ってみろ!」
一向に歌わない骸骨に痺れを切らした殿様は「どうやら賭けは私が勝ちのようだな。」と言って、約束通り欲深い若者を打ち首にした。
するとその途端、骸骨が喜びの歌を歌い始めた。

その骸骨は、欲深い男が殺したもう一人の若者だったのだ。

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