実話系・怖い話「嫌な予感がした家族旅行」
私がまだ小学生の頃。
今から25年ほど前のことになりますが、夏休みに家族で岐阜県に旅行に行くことになりました。
出発当日は快晴で雲一つなく、まさにお出かけ日和といった感じでした。
しかし天気とは裏腹に、出掛ける前から何か嫌な気分でした。
私は不思議な体験や霊を見ることもたまにありましたので、何事もなければ良いなと思っていました。
しかしその予感は当たってしまいます。車が岐阜県と愛知県の県境付近に来た時でした。
普段からあまりスピードを出さない父親でしたが、見通しが良く周りに車の陰が見えないことから、法定速度ぎりぎりまでスピードを出していました。
そこまでは良かったのですが、一台の車が後ろから猛スピードで迫ってきました。
その時、道路の横から犬が飛び出そうとしていたので、父親が避けようと少し膨らんだところ、後ろから来たその車と接触事故を起こしてしまいました。
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幸いにして全員無傷で車のドアが開きにくくなった程度で収まりましたが、出掛ける直前から妙な胸騒ぎがしていたのはこのせいだったのか…。でもまぁ皆無傷で済んだので、まだ良かったなと考えました。
しかしその後、県境を越えて岐阜県内を目的地方面に向かって走っていくと、さらに嫌な予感がし始めたのです。
そしてあろうことか、私は旅館に着くなり気を失ってしまったのです。
2時間程度経過してから目を覚ましたようなのですが、その間ずっと独り言をつぶやいていたようで、まるで何かに憑りつかれたかのようだったと、母親から言われました。
そのあとも誰かが耳の近くでつぶやいている感じがして落ち着かなかったので店主に聞いてみると、そこは戦国時代に戦場となった場所で、特に女・子供を虐殺したと言われている場所のようで、たまに独り言をつぶやきながら近くの商店街を徘徊している宿泊客も居ると言われました。
何とも恐ろしい話を聞いてしまったので気分転換のために、家族で散歩をしに行きましたが、ふと見ると川の中から手が出ているように見えて、川岸を見ると刀を振りかざしているような影が見えました。
私は川の中の手を見ていると引き込まれそうな感覚に陥り、その場から動けなくなってしまいました。
家族に手を引かれてその場を去ることが出来ましたが、もし一人だったら川に身を投げていたかもしれません。
それほどまでに強く、鮮明に手が見えたような気がするのです。
旅館の部屋も決まっていたのですが、店主にお願いして、部屋を川から一番離れた場所に変えてもらい、とにかくあまり考えないようにしようと強く念じていました。
ですが結局また気を失い、次に起きた時には翌日の朝、車の中でした。
家族に昨夜のことを聞いてみると、私は何回起こそうとしても全く目覚めず、夜中には部屋の中を歩き回っていたと言われました。
当然全く記憶がなく、ふと足元を見ると怪我をしていました。
怪我をするような場所に行っていませんし、痛みもありませんでしたが、切られたような跡だったのでもしかしたら…と考えざるを得ませんでした。
その後、岐阜県に旅行に行くことはあっても、その近辺には絶対立ち寄らないようにしています。
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