恐怖の泉

実話系・怖い話「一つ目オッサン」

昔読んだオバケの本に、一つ目小僧というのがあった。
顔の真ん中に大きな目玉が一つ付いた顔の小僧が、道行く旅人を驚かせていたという、有名な話だ。

しかし時代は変わる物で、今では単眼萌えなどと言うジャンルがある。
私もディープでは無いが、単眼の女の子は割と可愛いと思っている節がある。
しかしオッサンの単眼は駄目だ。萌えない。

いつだったか某県への取材に行った帰り、高速を走っていると酷く腹が減ってきた。
サービスエリアで飯にしようと降りると、敷地内がいやに暗い雰囲気だった。
夜と言う事を除いたとしても、明かりがほとんどないなんて何かがおかしい。

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けれど空腹の前にはどんな異変も取るに足らない、一番大事なのは自分の腹具合だ。
食事処と書かれた看板が暗い照明に照らされているのを見つけた。中を見ると、まばらに客が入っており一様にこちらに背を向けている。
店内に入り、食券を買って持って行くと青白い顔をしたオバサンが対応した。ややあって、うどんとおこわおにぎりが乗ったプレートが出てくる。
空いてる席に座り早速食べようとすると、隣のテーブルに居たオッサンが馴れ馴れしく話しかけてきた。

「食べちゃう?それ、食べちゃうの?」

まるで小学生の様なノリで、茶化すような物言いにイラっときたが、面倒な人間には関わらないのが一番だと思い、無視して割り箸をうどんスープに浸けると箸先に違和感を覚えた。

「食べちゃう?それ、食べちゃうの?」

隣で椅子をガタガタする音が聞こえる。無視しようにも、いい加減うざい。
一体どんなヤツがこんなことをしているのかと思い、視線をそちらへ向けると、顔の真ん中に目が一つだけのオッサンが居た。

一瞬奇形か特殊メイクかと思ったが、それにしては良く出来ている。
それより鼻が見当たらない方が不自然だった。
オッサンは何やら期待したような眼差しで見ていたが、真顔で見返す私に困ったのかだんだん表情が消えていく。

驚いてないわけじゃないんだが、どうも私は顔に出ないタイプらしく、一つ目のオッサンと顔を合わせてからもどうリアクションするべきか迷っていた。
気まずくなり、何か言わなくてはと思った末に出た言葉に自分でも呆れた。

「目…小さいですね」
「……」

オッサンの一つ目は、人間の目としては普通のサイズだった。
単眼と言うと、私の中では顔の半分以上を占める物だと認識があったため、素直に小さいとは思っていた。
オッサンはなんとも言えない顔をして、ゆっくり消えて行った。

気が付くとサービスエリアのベンチで座っていた。何台ものヘッドライトの明かりが入ったり出て行ったりしている。
人の気配も複数あり、先ほどまでの雰囲気とは明らかに変わっていた。

とりあえず飯食って帰った。

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