実話系・怖い話「先輩はオナゴが怖い」
先輩が新しく引っ越した部屋にオナゴの霊が出ると相談された。
部屋で寝ていると金縛りになり、しばらくすると女の子が出て来て彼を恨めしそうな顔で見下ろしてくるそうだ。
正直、話を聞いたときはそれだけなのか…と思ったが、彼は人一倍怖がりなのでそんな事でも怖いんだろうと思う。
「ならお前が来て泊まって見ろ! すげーおっかねえんだぞ!」
どうも声に出ていたらしい。
そこで彼の部屋に泊まってみると、なるほど、午前零時を回った頃に部屋のあちこちでピシリピシリと枯れ枝を割る様な音が聞こえてきた。
先輩は既に布団の中で震えていたが、動画が良い所だったのでそちらを優先した。
あと一話だけ、もう一話だけと見ているうちに二時間ほど経っていた。
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先輩を振り返ると小さな呻き声を漏らしていた、金縛られているようだ。
しかし彼の周囲を見渡しても、オバケらしきものは見当たらない。
とりあえず彼を起こすと、そこに女の子が居たと騒ぐ。
何も居なかったと言うと、いい加減に寝ろと逆切れされた。
部屋のあかりを消し布団に入って目を閉じていると、急に耳鳴りが始まって体が動かなくなってきた。
なぜか目だけは動いたので瞼を開くと、勝ち誇ったような表情の女の子が枕元に立っていた。
小学生くらいか。ピンクのスカートがひらひらして、中身が良く見える。白だった。
けどムカつく顔だったので全く嬉しく無い。
口が動かせなかったので、頭で話しかけてみた。
「パンツ見せつけて嬉しがるなんて、変態かお前は。
日本人がロリコンばかりだと思うなよこの変態ガキ、死んでまで人様に迷惑かけるんじゃないドブスが、鏡見ろ。
我が子がこんな変態痴女幽霊になっただなんて聞いたら、お前のご両親はさぞかし悲しむだろうなあ、違う意味で。」
などと、今にしては少々大人げなかったかも知れないが、正直な感想を述べたところ大変お怒りになった様子で、大口を開けて何か叫んでいた。
部屋中の窓や棚、机などがガタガタ音を立て、さながら地震の様な雰囲気。
しばらくして揺れが収まり、先輩がぐえっと悲鳴をもらしてから起き上がった。
「オナゴが俺の事踏みつけてどっか行ったわ……お前、なんかした?」
「なんにも」
積み重なっていたゲームや、棚のぬいぐるみ(笑)が散乱し、ただでさえ散らかった部屋がさらに魔境と化したが、それだけだった。
以降先輩の部屋で女の子のオバケは出なくなったそうだが、今では猫の幽霊が何匹か出るらしい。
「ウンコしないペットって理想的だよな!」
半透明の猫たちにたかられて嬉しそうにしている先輩を見ると、彼らしいなと思った。
それにしても、幽霊とはいえあんなに猫に囲まれてるなんて…羨ましい。
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