恐怖の泉

実話系・怖い話「ゴーストバスター・U・E・谷山」

最近では砂場専用の砂が売られているのだとか。
公園にある様な砂場には何があるか分からない、衛生的にもよろしくないからという理由で、様々な遊具とともにその姿を消しつつあるようだ。

俺が小学生の頃の公園といえば、滑り台にブランコ、鉄棒、砂場があるのが当たり前だったが、その当時も砂場にはよからぬものが色々と落ちている事があった。
犬猫の糞が混入されていたり、割れた瓶の破片が撒かれている事もあって近所でも注意するよう回覧板がまわっていたな。
それは変質者の仕業だという事で、子供の一人歩きに対しても注意が呼びかけられていた。

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そんなわけで公園で遊びたがる子供が数を減らしていた頃なんだけど、友人の谷山が、他に人が居ないなら公園を占領できると言い出した。

谷山はあまり物をよく考えない奴で、なんで公園に人が寄り付かないのかまで頭が回らないようだった。
しかし谷山ひとりを放っておくわけにもいかず、何人かで公園で遊ぶことになった。

しばしサッカーボールを蹴りあっていたが、そのうち一人があらぬ方向へパスを出し、ボールが砂場の方へ転がって行った。
ボールの持ち主の谷山が、ウンコ付いたらどうすんだ!と怒鳴りつつボールを追いかけていく。
そしてボールを拾い上げると、谷山が足元を見たまま動きを止めてしまった。
こちらからでは何があるのか見る事は出来ないが、谷山の顔は妙にニヤニヤしていた。

「エロ本落ちてるぞ!」

歓喜の声で皆に呼びかける谷山のもとへ、俺達は一斉に走った。
まあ、そう言うお年頃だったのだ(笑)

砂場に見開きで置いてあった本には水着のお姉さんが写っており、今思うとエロ本と言うにはいささか物足りなくはあったが、エッチな事に興味を持ち始めた男子には十分刺激的だった。
始めは地面に置いたままページの端をちょっとつまんでめくる手も、いつしか大胆にページをめくり始め、もっと良く見ようと本を持ち上げた時だった。

本の下に、なんと男の顔が埋まっていた。色の黒い、日焼けしたオッサンだった。

一瞬にして凍り付く一同。エロ本で高ぶった気持ちは血の気と一緒に一気に失せた。
動けずにその顔を見つめていると、目玉がぎょろりと動き、低い声で「返せよう」と喋った。

悲鳴をあげて何人かが逃げ出したが、谷山だけは動けなかったのかその場に縫い留められたように立ち尽くしている。
助けに戻ろうとしたところで、急に谷山がサッカーボールを砂場の顔へ思い切り叩きつけ、狂ったように奇声を発しながら砂場を踏み荒らしだした。
みんな、谷山が砂場の顔に取りつかれたんだと思ったがそうでは無かった。

戻ってみると顔はもうどこにも無く、ぐちゃぐちゃに踏み潰された犬の糞だけがそこに置いてあった。

「だって見つけたの俺だもん、拾ったモン勝ちだろ!」

よく分からなかったが、谷山がオバケをやっつけたと言う事で、彼は一躍男子の憧れの的となった。
この功績を称えて、谷山にはしばらくの間
「ゴーストバスター・ウンコマン・エロス・谷山」
と言うあだ名が、尊敬の念を込めてつけられた。

…一方、女子には白い目で見られるようになったのは言うまでもない。

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