恐怖の泉

実話系・怖い話「元病院だった建物」

これは私の母が体験した話です。
母は、昔から幽霊などの類を見る体質でした。それはその中の一つの出来事です。

もう30年ほど昔の、大阪のとある病院跡地で起こった出来事だそうです。
当時、その病院跡は建物はそのままで一部だけ閉鎖され、他は系列の企業が新入社員の研修用の寮として使用しており、私の祖父母がその寮の管理をしていました。
研修のある時は関係者以外立ち入り禁止となるのですが、それ以外の時は親類などが宿泊することには問題がないようで、私の母は良く父と兄たちを連れて会いに行っていたようです。

閉鎖された部分の建物と母が宿泊していた建物は、中庭を挟んで離れていたようなのですが、昼間母が中庭を見ていると視線を感じて閉鎖された建物を見ました。
するとそこに浴衣姿の女性がおり、母を見つめていたそうです。

スポンサーリンク

冬の時期だったので、浴衣というのはおかしいなと思いながらも、まぁ建物の中は暖かいのかな?というちょっとおかしな解釈で納得した母は「こんにちは」という感じで会釈をしたそうです。するとその女性も母に微笑み返したそうです。

当時、母は建物の一部が閉鎖されていることや元病院だったことも知らなかったようで、怖いなどの感情は全くなかったそうです。
その時挨拶している母を見た祖父は「誰とあいさつしてるん?」と母に尋ねました。すると母は「何言ってるの前の建物に人がいるじゃない。」と言ったそうです。
祖父はもともとめんどくさいことは傍観のタイプの人だったので、それ以上聞くことはしなかったそうです。

その後、食事の時間になって祖母に母が
「向かいの建物にも人がいるのね」
と聞いたら、祖母が血相を変えて
「何バカなこと言っとるの?あそこは無人やよ。夢でもみたんじゃないの?」
と母の言ったことを一刀両断したらしいです。

次の日、昼間に母はその建物の近くまで近寄ったそうです。建物の周りは有刺鉄線でまかれており、入り口という入り口にはすべて板が張り付けられていたそうです。

「確かに無人だな…」

そう思った瞬間、視線を感じたので上を見上げると、前日に女性を見た窓にまた同じ浴衣の女性が立っていたそうです。
更によく見ると、他の窓からもこちらをじっと見つめている人が何人もいたのだとか…。

母はゾッとして逃げ帰り、それからは閉鎖された建物を見ないように過ごしたそうです。

祖母の話によると、その建物ではいつも不思議なことが起こっていたのだそうです。
トイレに行くと扉を閉めていても必ず開いてしまったり、変な音が鳴ったりなどはしょっちゅうあったようです。
閉鎖されている建物の方はその現象がもっと酷かったようで、建物の横には壁を挟んで銭湯があったそうなのですが、その銭湯の窓から建物を見ると必ずと言っていいほど人と目が合うらしかったのです。もちろん建物は完全閉鎖されているので、人が居るはずはないのです。

現在ではその元病院だった建物は取り壊され、土地はマンションとして利用されているようです。付近に住んでいる親戚に聞くと、マンションになってからは自殺者が多いのだとか…。

スポンサーリンク

TOP