恐怖の泉

学校の怖い話「一つ目ウサギ」

むかし通っていた学校のウサギ小屋には、ときどき変なのが一匹混じると噂があった。

フワフワの愛くるしいウサギに触る事が出来る飼育委員は大変人気があった。
けれど小学生にとって、可愛がるのと世話をするのはまるで別物らしく、小屋の掃除は嫌な物だったそうだ。
私も飼育委員の友人に付き合ってウサギ小屋の掃除を手伝っていた時に、それを見たような気がする。

見た目ほとんどウサギと変わらないのだが、顔を見ると目が一つしか無いんだ。
見慣れたウサギのように左右に一個ずつでなく、眉間に一つ人間の目のようなものが縦についていた。
小屋の外からぱっと見ただけでは分からないんだけど、近づいてよくよく観察すると、たまに居る。

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不思議とその時はまったく恐怖心など無くて、微塵もおかしいとは思わないのだそうだ。
実際に私が会った時もそうだった。

撫でれば嬉しそうに目を細めるし、野菜を与えればモリモリ食べた。
他のウサギたちに混じって跳ねていたり、眠っていたりと非常にマイペースで微笑ましい奴だった。

それから何度か掃除を手伝い、一つ目ウサギとも仲良くなった。そういう種類のウサギも居るんだろうと思っていた。

ところがある日、一つ目ウサギに噛まれたと言う男の子が現れた。

その子は小屋の外から棒切れを突っ込んで、ウサギたちを突いてイタズラしていたらしい。
逃げ惑うウサギを執拗に突いていると足に痛みが走り、見てみると足首には例の一つ目のウサギが、真っ黒になった目で男の子を睨みながら噛みついていたそうだ。
夢中で足を振り回すと一つ目のウサギは、ふっと消えてしまったらしい。

しかし男の子の足には噛み痕が残っているし、足の痛みも取れない。
病院に運ばれて、アキレス腱が切れていると診断された。

そんな話が広まって以来、飼育委員になりたがる子は激減して、ウサギ小屋に近づく子も居なくなった。
何度かウサギ小屋を覗いて見たが、以降一つ目ウサギを見る事も無かった。

男の子が怪我をしたのは可哀想だと思うけど、一つ目ウサギが悪いとは思えないんだよな。

けど本当に噛んだのはウサギだったんだろうか。
噛まれた痕を見せてもらったんだけど、あれはどう見ても人間の歯型だと思うんだよね。

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