恐怖の泉

実話系・怖い話「願わざる同居人」

これは新しく住みだした家での出来事です。
そこは建売の家でした。二階建ての家で、二階には部屋が二つあって、一つは弟が使い、もう一つは私が使用していました。

引越しをして一週間ほどしたころでしょうか。夜中の12時、1時、2時と一時間おきに弟の部屋から
「ざーざー」
っと、まるで小豆をざるに入れて左右に移動させる音がするのです。
朝起きてから

「どうして昨日は変なことしてたの。小豆みたいなものを移動させる音がうるさくて眠れなかったよ」
と問うと

「え?何の事?なにもしてないけど」

その答えに、私の気のせいだったのかな…と思うようにしました。

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しかしその日も夜になると、やはり同じように12時、1時、2時になるとあの音が聞こえます。
結局、それから毎晩のように聞こえるようになりました。
いつしか私はその音が恐ろしくて、眠れなくなってしまいました。

奇妙なのが、その音が聞こえるのは私だけなのです。両親にその話をすると
「この子は狐か狸の霊がついて、変になっているに違いない」
と私を変な人よばわりするだけで、信じてもらえませんでした。

毎日聞こえる小豆の音に、ゲゲゲの鬼太郎の小豆ばばあが住んでるんじゃないか!?と一人で本気で思っていました。

1ヶ月くらいしたころでしょうか。母親が朝私に
「やっぱり何かいるようだ」
というのです。

どうしたことかと聞いてみると、昨夜弟がトイレに降りてくるのに、二人の足音が聞こえたというのです。
私も一緒にトイレへ降りてきたのかな?と見てみると、来たのは弟一人だけ。
更に今度は、数時間後に誰かが降りてくる足音はするものの、誰もいないというのです。

やっと私の言う事を信じはじめていた母親に、私は最近よく見る夢の話を打ち明けました。
実は私は小豆の音が聞こえた頃から、夢に同じ女性が出てきていたのです。
ただまた狐・狸に憑かれた人よばわりされるのが嫌で、話しが出来ずにいました。
その女性の特徴を聞いた母親は、何やら青ざめた表情になりました。そして一言

「その女性、私の夢にも出てきたわ…」

私と母は相談した結果、家をお祓いしてもらうことにしました。
有名だといわれる方に家を見ていただいたところ、ここには昔お墓があったのですが、それが池となり、それを埋め立てられてこの家が建ったとのこと。
ここら辺一体がそういった土地だということで、なぜ我が家だけ出るの?と思いましたが、ひょっとしたら近所の家は気がつかないだけなのかもしれません。
なにしろ、この家で怖い思いをしたのは母と私だけでしたから…。

幸いなことに、お祓いをしてからは小豆を音や女性の夢は見聞きしなくなりました。
それでもまた何か起きたらどうしようという不安は、私も母も頭の片隅には残っています。

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