恐怖の泉

人間の怖い話「ついてくる車」

小学生の時にピアノ教室に通っていました。自宅から10分ぐらいの先生のお宅に自転車で行き、今とは違い親の送り迎えなどなく6時ぐらいなら一人で通っていました。

その日ももちろん一人でした。辺りは既に暗く、寒かったことを覚えています。早く教室に着きたくていつもよりも急いでいました。

自宅を出てすぐ、公園の前に車が停まっていました。その車の前を通った時、ヘッドライトが点いて車も動き始めたのです。
最初は何とも思っていませんでした。

「おかしいな」と思ったのは大きな道から狭い道に入った時です。
この道を通る車はほとんどないことを知っていました。でも車も曲がったのです。

怖くなり、わざといつもは曲がらない道に入ってみました。車も曲がります。
「ついてくる」
そう思いました。

次の道を曲がった瞬間に全速力で自転車をこぎ、知らない家のガレージに隠れました。
車は気付かなかったようで、ガレージの前を通り過ぎます。
怖くて暫く隠れていると、なんともう一度その車が前を通り過ぎたのです。
「探されてる」と思いました。怖くて、怖くて、30分位ずっと隠れていました。

結局あの車が何だったのかは分かりません。
でも、もしもあの時に見つかっていたら…と思うと今でもゾッとします。

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