恐怖の泉

実話系・怖い話「いわくつきの川」

今ではどこの場所にもプールがあって、子供が川で泳ぐことも少なくなりました。
また大人も自然の川に接する機会が少なくなって、鮎やうなぎやそのほかの魚を川で取ることもなくなって来ています。昔は貴重な蛋白源だったのでしょうし、私が子供の頃は事実そうでした。

ですがその代わり、川で亡くなる人の話は何度となく子供の頃から聞いていました。私の知っている人だけでも、何人かいます。
厄介なのは、川の石の苔は乾いているときは全く滑らないのですが、ひとたびぬれた手でその苔に触ると滑って石を掴むことが出来ません。
それですぐそばに石があるにも拘らず、つかまり切れずに死ぬ人がいたのだそうです。

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そんな場所はなぜか限られていて、そこで何人もの方が亡くなった話を子供の頃から聞かされました。
そこは学校の帰りの途中にあり、狭い道路が川に向かって突き出したところにありました。その下は崖になっていて、上からは見通すことが出来ませんでした。
その道を通って学校から帰るとき、ましてや一人で日も暮れた時はいつも恐怖感に襲われました。

ある日、新しい自転車を手に入れたことが嬉しくて、そんなことなど忘れて手放しをして走っていました。
自転車の運転で大きなミスなどしたことがなかったのですが、その道にくると突然不自然にハンドルが左に切れて、そのまま川の方へ墜落をしました。
どのくらいの時間落ちていたのかわかりませんが、幸いにも川に入るギリギリの所で留まっていたらしく、向こう岸を歩いていた人が気が付いてくれて私は病院に担ぎ込まれ、助かりました。

その他にも何かと事故が多いので、地元の篤志家がその場所にお地蔵さんを建立して無事を祈ったというほどでした。

その後のことはわかりませんが、そこは幽霊の目撃談も多かったらしく、崖の上に人影が浮かんでいたとか、その付近を泳いでいると川底に引っ張り込まれるなど、子供の頃から聞かされ今でもはっきりと覚えています。

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