恐怖の泉

実話系・怖い話「緑色の男性」

これは私が中学生の時に、仲の良い友人宅へ泊まりに行った際の出来事です。

その友人の家は何度も泊まりに行ったことがあり、馴染みのある家でした。建ててからそれほど時間が経っていない綺麗な家だったので、怖い雰囲気を感じたことなどありませんでしたが…一つだけ気になることがありました。
それは、家から道路を挟んだ向こう側に、沢山の墓地とお地蔵さんが置かれていた点です。

昼間は何も感じませんでしたが、夜中に外へ出て花火をしていると墓地の方から誰かに見られているような気がして、霊感と言われる感覚が無い私でも、ゾクッとして何度もそちらを振り向いてしまいました。

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そして夜も深まってきた時のことです。
私以外にも別の友人が来て泊まらせてもらっていたのですが、夕食後3人でテレビゲームをしようという話になりました。
一緒に泊りに来ていた友人がテレビゲームを準備し始め、その時にはもう一人の友人(その家に住む女の子)はトイレへ行っていて、部屋にはいませんでした。
私はゲーム機を準備するのを手伝わず、面倒くさそうに準備をしている友人の背後から、カメラを向けて撮影しようとしていました。
当時流行っていた使い捨てカメラです。
友達と遊ぶ時にはいつも持ち歩いていたのですが、その日持っていたカメラの枚数が残り3枚程だった為、使い切ってしまおうと思いその友人の背後からパシャリと1枚撮影したのです。
友人は撮影されそうになっていることに気づき、少し振り向きかけたその瞬間を撮影しました。

その時テレビの画面は確かに消えていましたし、テレビを切った瞬間というわけでもありませんでした。
撮影時には何の変化もなく、勝手に後ろから撮影された友人は怒っていましたがその後は笑い合って終わり、トイレから帰ってきた友人と3人で普段通りテレビゲームをして遊びました。
本当に、何も異常なんて無かったんです。怪奇現象も無ければ、何か気配を感じたわけでもありませんでした。

友人の家に泊まってから数日後、私は使い捨てカメラをカメラ屋さんで現像してもらい、自宅に帰って写真を1枚1枚確認しながら「あぁこんな写真も撮ったなぁ」と笑いながら見ていました。
すると、一枚の写真に目が止まりました。

意識したわけでなく、誰かに引き留められたような感覚でした。
その写真は、あのゲーム機を準備していた友人を後ろから撮影した写真でした。

写真には、確かに消えていたはずのテレビ画面の真ん中に、緑色の男の人の顔がハッキリと映っていたのです。

緑色の男性は両目と鼻があり、下半分の口から顎の部分だけが消えていて、手前にいる友人ではなくカメラを向けている私の方を見つめていました。
私はその緑色の男性と目が合った瞬間悲鳴を上げ、体を震わせながら隣の部屋にいた両親に泣きついて叫びました。
人生で初めて撮った心霊写真でした。

その写真を見せた両親も不気味がり、この写真は持っていない方がいいと言われました。
念の為にその日一緒にいた友人2人にも写真を見せ、あの時私達3人以外の誰かがあの部屋にいたかどうか確認しましたが、誰もいなかったしテレビの画面も確かに消えていたということで、震え上がりました。
私達が恐怖のあまり教室で叫んでいると、当時担任をしてくれていた先生が話に入ってきたので写真を見せると…
先生もそのこの世の者とは思えない恐ろしい顔に恐怖し、叫んで写真を放り投げそうになる程でした。

その後、この恐ろしい写真をどうするか3人で話し合った結果、私の自宅の傍にあるお寺で供養してもらったらいいのではないかということで決着。両親にも勧められ、数日後にその写真をお寺で供養してもらうことになりました。
ところが、さていざお寺に写真を持っていこうと決心した矢先、なんと私が持っていたその心霊写真が忽然と消えてしまったのです。

私は写真を無くさないように、確かに机の引き出しに入れていました。
なのに本当に忽然と、その写真だけが消えてしまったのです。

その写真はいくら探しても見つからず、今だに発見されていません。
まるで供養されることを拒むかのように、その緑色の顔をした男性は写真と共に私の前から消えてしまいました。
私は心霊写真が撮れてしまった恐怖と、写真が消えた恐怖が重なって、体調不良になり何日か学校を休むことになりました。

後日聞いた、泊まらせてもらった家のおばあちゃんの話によると、家の近くにある墓地からのびる霊道の上に丁度そのテレビがあったのだと言います。
あの、私を見つめていた緑色の男性は、私に何かを訴えたかったのでしょうか。
写真は消えてしまいましたが、あの男性の悲しげな視線は今でも忘れられず、記憶の中に残っています。
男性の霊がいつか成仏されることを祈るばかりです。

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