実話系・怖い話「ジフテリア」
ジフテリアとは、ジフテリア菌またはジフテリア毒素を産出する細菌による感染症です。
ジフテリアはワクチンでの予防が非常に有効なため、予防接種が普及した日本においては感染者報告がほぼ皆無です。
ですがワクチン普及以前は、年間8万人以上の感染者が発生して多くの方が亡くなっていた歴史があります。
世界的にはワクチン接種が普及していない地域、とりわけアジア、アフリカにおいて現在でも流行中の病気となっています。
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感染経路
ジフテリアは人間に蔓延している細菌で、飛沫、または病変部位への接触によって感染が広まります。
感染力は強く、保菌者が無症状であっても他人へ感染が拡大してしまうのが厄介なところです。
感染者数とワクチンの接種率は密接に関係しており、例え感染者数が少ない地域でもワクチンを中止してしまうと瞬く間に患者が増加してしまうと考えられています。
逆に言えば、ワクチン接種さえ徹底してしまえば根絶ができる可能性のある病気とも言えます。
ジフテリア菌へ感染することでジフテリアの症状が引き起こされますが、さらにジフテリア毒素へ侵されると重症化の危険が高まります。
しかし全てのジフテリア菌がジフテリア毒素を出すわけではありません。
ジフテリア毒素生産能力は、毒素生成遺伝子を持つバクテリアファージ(ウイルスの一種)が、ジフテリア菌に感染することで獲得する特徴があります。
このジフテリア毒素生産能力を獲得してしまう菌は、ジフテリア菌以外にも存在しています。
日本においても、動物やペットの常在菌がバクテリアファージによってジフテリア毒素生産能力を持ち、その細菌に感染した方がジフテリアと診断された例があるため注意が必要です。
症状
ジフテリアに感染しても、およそ90%の方が不顕性(無症状)であるとされています。
発病すると主に上咽頭へ病変が現れますが、他にも鼻、皮膚、眼、生殖器などの粘膜へ感染します。
症状としては、1~10日ほどの潜伏期間の後、喉の痛みや全身がだるいといった風邪に似た体調変化が現れます。発熱はさほど高くありません。
ジフテリアの1番の特徴は、喉の奥に白い偽膜が発生する点です。声がかれたり犬の遠吠えのような咳が出ることもあります。鼻に感染している場合は鼻血が出て、中耳炎が起きる場合もあります。
偽膜は剥がそうとすると出血し、次第に気道を塞いで呼吸困難を引き起こします。
治療が遅れて毒素が全身にまわってしまうと、リンパ節の肥大で喉がパンパンに腫れあがり、心臓や腎臓、神経の麻痺等の重い症状を引き起こします。
とりわけ心臓に心筋炎を発症した場合は危険で、完全に回復するまで長い時間がかかります。
最終的には心不全や不整脈、呼吸困難、意識障害、昏睡となり死亡します。致死率は10%前後です。
幼い子供や高齢者は死亡率が20%以上にまで高まります。
ジフテリアは例え元気になったとしても、患者の心臓へ負荷がかかると突然死してしまう可能性があるため、回復後も慎重に経過をみる必要があります。
皮膚など他部位へ感染した場合は軽症で済みますが、患部にただれや湿疹といった異常が出ます。
治療・予防方法
治療の遅れは重症化を招くため、ジフテリアと診断されたら早急な治療が必要です。
しかし日本では非常に稀な病気となったため、実際の診断治療に関する知識を持つ医者が不足しているという懸念がされています。
的確な治療がされればおおむね助かりますが、重症化している場合は長期の治療が必要となります。
ジフテリアの予防にはワクチンがあり、効果が非常に高いです。
ワクチンによってジフテリア毒素への抗体がつけば、ほぼ発病を回避することが可能となります。
ジフテリアのワクチンは三種混合ワクチンで、他にも破傷風、百日咳といった危険な病気も予防できますので、必ず接種するよう推奨されています。
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