実話系・怖い話「日本脳炎」
日本脳炎(にほんのうえん)とは、フラビウイルス科の日本脳炎ウイルスに感染することで起こる感染症です。
日本という名前がついていますが、これは1935年に初めて日本でこのウイルスが患者から発見され、病気との関係が明らかになったことに由来しています。
アジア圏に限定して流行している感染症でしたが、次第に感染領域が他地域へ広がり始めていることが懸念されています。
感染経路
感染源は蚊による吸血です。人から人へは感染しませんし、日本脳炎患者の血を吸った蚊が、他人の血を吸っても感染しないとされています。
日本脳炎ウイルスの主な宿主は豚です。豚の体内でウイルスが増殖し、その豚を蚊が吸血し、また他の豚を吸血して感染させるというサイクルで豚世界に蔓延しています。
豚へ感染しても流産のリスクが多少高まるくらいでほぼ無症状ですが、人間に感染すると重篤な症状を引き起こします。
豚から日本脳炎ウイルスを根絶することは事実上不可能なため、日本国内でも常に感染の危険があります。
ですがワクチン接種が非常に効果的で普及が進んでいるため、患者の発生増加が年間数名程度に抑えられているというのが現状です。
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症状
日本脳炎に感染したとしても、発病のリスクは0.1%~1%程度とされており、ほとんどの方は症状の出ない不顕性のままで済みます。
しかし一度発病してしまうと有効な治療方法はなく、致死率も30%前後と危険な感染症です。とりわけ子供や高齢者は死亡率が高まります。
例え命が助かったとしても、ウイルスが脳細胞を破壊するために深刻な後遺症が高確率(50%以上)で患者に残ります。
主な後遺症は麻痺、知的障害、運動障害等です。
感染から発症までは4日~2週間ほどの潜伏期間があります。
その後40度近い高熱、頭痛、嘔吐、痙攣、髄膜炎特有の首硬直、意識障害といった急性脳炎症状を起こし、5日ほどで解熱すれば回復します。回復出来ない場合、昏睡状態となり死亡します。
治療・予防方法
前述しましたが、日本脳炎が発病してからの有効な治療方法は今のところ無く、対処療法しかありません。
発病した時には既にウイルスによる脳細胞の破壊が始まってしまっており、治療は困難を極めるのでなにより予防が大切です。
予防にはワクチン接種が非常に効果的で、適切に受けることができればほぼ予防ができます。
近年の発病者は高齢者に多いです。これはワクチンを受けていない、あるいはワクチンの効果が弱まってしまったことが原因とされています。
ワクチンの効果は年々弱まるので、対策が望まれます。
ちなみに従来使用されていた日本脳炎ワクチンは、副作用が懸念されたため2005年に使用が控えられましたが、新しくより安全なワクチンが開発されて運用が再開しています。
ワクチン接種の他、蚊に刺されないような対策をすることも重要です。
長袖長ズボンを着用して肌を露出させない、防虫薬や蚊取線香の利用等が効果的です。
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