恐怖の泉

人間の怖い話「4年越しに…」

小学校4年生のころのことです。
学校の授業が終わってランドセルを家に置いた私は、家が近くて学年が二つ下の仲が良かった女の子と、近所の公園で遊んでいました。
まだ辺りは明るかったので、夕方3時~4時頃だったと思います。

いつものようにすべり台で遊んでいると学ランを着た男の人に「こんにちは」声をかけられました。
制服ではありましたが顔が幼かったので、高校生というより中学生のお兄さんだと思ったことを覚えています。
私たちが「こんにちは」と返すと、学ランのお兄さんは「○○中学校ってどこにあるかわかる?」と聞いてきました。

○○中学校は私たちの通っている小学校の生徒のほとんどが進学する中学校で、小学校から徒歩で10分圏内にあります。
直接行ったことはなかったのですが場所がなんとなくわかっていたので、「なんとなくなら知ってます」と答えました。

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するとお兄さんは
「用事があるから行きたいんだけど場所がわからないんだ」
「君たち連れていってくれない?」
と言ってきました。

困っている人は助けなくてはいけない、という変な正義感をもとに私たちは「いいですよ」とそのお願いに答えることにしました。

三人で他愛もない話をしながら公園を出て並んで歩き始めたのですが、少しするとお兄さんが先頭になって私たちが後ろをついていくという順番になっていました。

「どうして道を知らないお兄さんが先頭を歩いているのだろう」
という違和感に気付いた瞬間から
「このまま誘拐されてしまったらどうしよう」
という恐怖が私を襲いました。
急に黙った私たちに気付いたのかお兄さんは「大丈夫?ちょっと小学校で休憩していこうか?」と提案してきました。

ちょうど目の前に小学校があったので、「ここなら先生もいるし安心だ」と思った私は「そうしましょう」と答えました。

小学校に入って座って少し話をしているとお兄さんは「友達になってくれる?」といって私のことを抱きしめてきました。そして全身を触り始めたので、勇気を振り絞って「嫌です!」といって友達の手を引いて逃げました。
走りながら後ろを振り返ってもお兄さんは追ってこなかったので、安心しつつもその日はまっすぐ帰宅しました。

しばらくはその出来事が頭から離れず、公園で遊ぶことは減ってしまいましたが時間が経つにつれてその時の恐怖感などは薄れていきました。

時が経って中学校一年生になった私は、テニス部に入りました。毎日部活があるので中学校を出るのはだいたい夕方の6時頃でした。
いつもは家が近い同じテニス部の子と帰っているのですが、たまたま一人で帰っていた日のこと後ろから「すみません」と男性に声をかけられました。
振り向くとなんとなく見覚えのある顔の学ランの男性が立っていました。

「○○中学校ってどこにあるか知っていますか?」

というその男性の言葉を聞いて鳥肌が立ちました。
見覚えのあるその男性は、小学校4年生のころに同じように声をかけてきて、小学校で抱きついてきたあの男性だったのです。

心臓がバクバクいっているのを感じましたが、周りには同じように部活帰りの生徒がちらほらいたので「わかりません」と無愛想に答え、早足で歩きだしました。
少しして恐る恐る振り向くと、その男性は私と逆方向に歩いていました。

男性は私のことを覚えていなかったかもしれませんが、4年越しで同じ男性に同じ手口で声をかけられたことにはゾッとしました。
そういった変質者が出たという話は聞かなかったですし、その後出くわすことなく過ごせているのは救いですが…怖かった体験でした。

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