実話系・怖い話「学校の近くの寮」
私が中学生の頃、近くに廃墟がありました。
3階建ての大きな古い建物で、なにかの寮だったらしく私たちの間では「寮」と呼んでいました。
その頃、深夜に家を抜け出して懐中電灯を持ち寮を探索することが流行りました。いわゆる肝試しです。
同じようなことをしている人が多いらしく、寮はガラスが割られていたり、ドアが蹴破られていたりと荒れていました。
サバイバルゲームをやる人も多いらしく、床にはエアガンの弾が散らばっていました。
ある日の夜、いつものように家を抜け出して仲間と合流をして寮へ向かいました。
懐中電灯を照らして探索をし、私が先導して進んでいきます。
途中で部屋を開けて中を覗き、スリルを味わっていました。
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1階の一番奥の部屋へ辿り着き、ドアを開けようとしてドアノブを持ったその時、私は悪寒に襲われました。
何か分からないけど寒気がして気持ちが悪くなり、私はうずくまりました。こんなことは今までありません。
どうしても具合が悪いので仲間に心配されて、その日は寮を出ることにしました。
その悪寒は帰宅してからも止まりませんでした。
しかし次の日には寒気はなくなり、普段通り学生生活を送っていました。
寮へ行った1週間後くらいに、父親と運動靴を買いに行きました。そしたら一緒に寮に肝試しにいく友人にバッタリ遭遇しました。
彼は私に耳打ちをしました。
「寮で死体が発見されたらしいよ」
私はびっくりしましたが、確かに人目につきにくいのでそういった事件が起こってもおかしくありません。
新聞にも掲載されていました。
どうやら誰かが男性を殺害して、寮に死体を隠したようです。
死後10日が経過したところで発見されたと、記事には書いてありました。
噂によると警察が悪さをしている少年たちがその寮に出入りしていることを聞きつけ、見回りをしていたところ発見されたようです。
それから学校の話題はその話でもちきりでした。
そしてよくよく考えてみると、死後10日ということは私たちが寮に肝試ししたときには死体があったということになります。
そう考えるととても怖くなりました。
次第にその話題も去っていき、事件から1か月が経った頃、仲間たちでまた懲りずに寮へ肝試しに向かいました。
死体があったということで更に怖さが増します。
いつものように侵入して、歩いていきました。なんとなく歩いていたら、1階の一番奥の部屋の前に来ました。こないだ悪寒がした場所です。
興味本位で入ってみましたが、今回はドアノブを持ってもこないだのような悪寒はしませんでした。
その部屋に入ってみると中には何もありません。それでも懐中電灯を照らしながら進んでいくと…床に何か白いものが見えました。近づいてよくみると、白いテープのようなものが貼られています。
そしてそのテープは、人の形をかたどっていました。
私はゾっとして声が出ませんでした。仲間たちもそのことに気づき、私たちはその場から逃げ出しました。
あの日、私が悪寒がして開けられなかった一階の一番奥の部屋、そのドアのすぐ向こう側には死体があったのです。
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