実話系・怖い話「お清めの塩」
私はいわゆる「見える」側の人間だ。
とは言っても、ただ見えるってだけで特に害も無く過ごしてはいる。
そんな私が見た幽霊の中で忘れられないのが、亡くなった爺さんだ。
私が小学生高学年くらいの頃に爺さんは亡くなった。詳しくは分からないが癌だったそうだ。
爺さんは普段から背筋がピンとしている、パッと見は怖いイメージの人だった。
でも言動の端にどこか優しさも感じられて義理深く、頼りになる爺さんだった。
亡くなったとはいえ、私はさほど寂しくはなかった。
なぜなら幽霊になった爺さんとは会えると思っていたからだ。
しかし爺さんの幽霊は、いつになっても現れなかった。ひいばあちゃんの葬式では、亡くなった本人がウロチョロしていたのに。
葬儀は滞りなく進み、爺さんは燃やされて骨だけになった。
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家に帰ってくると、玄関の前に爺さんの幽霊が居た。
なんだこっちに居たのかと思いつつ見ていると、婆さんに背中を叩かれた。
婆さんだけは私が見えるのを知っている。そして婆さんも見える人だ。これは2人だけの秘密。
婆さんは爺さんが大好きで、おしどり夫婦だった。
そんな婆さんは目の前に爺さんの幽霊が見えているはずなのに、妙に素っ気ない。
次の瞬間、婆さんは玄関に盛ってあったお清めの塩を辺り一面にまき散らした。
すると爺さんの表情が一変した。
もの凄い形相で、多分怒っていたのだと思う。
見た事も無い般若の如き表情で、私は思わずゾッとしてしまった。
そして爺さんの幽霊はパッと消えた。
寝る前、私は婆さんの部屋へ行って話をした。
「お清めの塩まいた時、爺さん凄く怒ってた。」
すると婆さんは
「あれは爺さんじゃない。」
とポツリ。
私は嘘だ、と思った。
「死んだらもう、この世の人じゃないんよ。大丈夫、婆さんが死んであっちに行ったら仲直りするさ。」
そう言って婆さんは手を合わせていた。
翌年、婆さんは爺さんが亡くなったのと同じ日に旅立った。
最近の葬式では、お清めの塩を使う習慣が無くなってきていると聞く。
時代の流れなのかもしれないが、個人的にはそれで良いと思っている。
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