恐怖の泉

心霊スポット「青木ヶ原樹海」

青木ヶ原樹海(あおきがはらじゅかい)は富士山の北西辺りに位置する森で、「富士の樹海」とも呼ばれています。
天然記念物に指定されており、豊かな自然を堪能できる観光地である一方、自殺の名所として国内を代表すると言っても過言ではない場所として知られています。

一度入ったら抜け出せない、方位磁針が使えないといった都市伝説があり、恐ろしい場所かと思いきや絶好の森林浴地として賑わいを見せており、普段は心霊スポットという雰囲気は微塵もありません。
ですが整備された道から踏み外してしまうと深い森が広がっており、迷った場合は目測のみで戻る事は難儀です。
さらに森の中には遺品や遺体が実際に散見される状態のため、明らかに異質な地であることは実感出来ます。
今でも自殺志願者が後を絶たず、随所に自殺を思い止まらせる看板を設置するなど対策がされています。

近年は有名なスポットであるが故に、場を荒らす方が多いことが問題となっています。どのような目的であれ、貴重な場所である自覚と節度を持って訪問される事を願うばかりです。

亡くなられた方々のご冥福を祈って。合掌。

【青木ヶ原樹海の場所】

青木ヶ原樹海の怖い話

私には小学校からの付き合いがある自衛官の友人がいます。
友人が入隊して3年ちょっとでしょうか。休みに地元へ戻ってきた時に連絡をもらい、食事をしながら自衛隊で体験した出来事を教えてくれました。

友人の話では、自衛隊は富士の樹海で訓練を行なうことがあるそうです。
数十kgの装備を身に付けて樹海内で訓練するそうですが、初めて行く前に上官から
「樹海内では自殺者の遺体を見つけることが多いので、覚悟するように。」
と言われたそうです。

確かに自殺の名所として知られていますし、友人も実際に樹海内の訓練中に遺体を見つけたそうです。
訓練内容によって、すぐ無線で駐屯地に報告する場合と、訓練終了後に報告して駐屯地から警察に通報する場合があるそうです。

人生で有るか無いかという遺体との遭遇。自然の中で野ざらしですから、綺麗な状態ではないそうです。
最初はその状態や臭いからショックで嘔吐する隊員もいるそうですが、訓練で樹海に入ると毎回のように発見されるらしく、徐々に慣れていってしまうそうです。

その友人が何回目かの訓練で樹海に入った終盤の夜、体力的にも疲弊していた状態で隊員が縦一列に並んで行軍している時でした。
友人の2人先の隊員の、右の腰辺りに何かが見えたそうです。

右腰部分だけに靄がかかっているように見え、「なんだあれ?」と目を凝らすと…真っ白い手がその隊員の服の袖を掴もうとしていたそうです。
腕は一つではなく、無数にあったと言います。

最初、友人は「疲労と夜の闇からくる恐怖で幻覚を見てる」と思ったそうです。
ですが何度見ても、真っ白くて肘から先しか見えない無数の手が、すがりつくように手を伸ばしては服を掴み、離してはまた掴もうと手を伸ばす、という行為を繰り返していたそうです。

一列でしか歩けないほど足場の悪い場所を抜けると、隊長から小休止の声がかかりました。
皆がその場にへたり込む中、先ほど腰辺りを白い手に掴まれていた隊員が声を上げます。

「お前!ふざけんなよ!」

突然、列で彼の後ろにいた隊員の胸ぐらを掴んで揉め出しました。

「ずっと引っ張りやがって!」

訓練中は私語厳禁です。
その隊員は後ろにいた隊員が、声を出してはいけない事をいいことにからかって、ずっと服を引っ張っていたと思ったそうです。
詰め寄られた隊員はといいますと、何を言われているのか分からずキョトンとしていて、その態度がさらに怒りを買いヒートアップ。
彼を周りの皆で止めて、友人は自分が見た白い手の事を彼に話したそうです。
ですが一緒になってからかっていると思ったのか、友人にも怒りの矛先が向かったそうです。

友人も自分の見た出来事を信じられなかったので、「そりゃそうだよな」と思っていた所…
友人の後ろにいた隊員2人が
「俺も見た。」「俺にも見えた。」
と言ったのです。

怒っていた隊員は最初信じていませんでしたが、そもそも両手で装備を持っているのに触れる訳がないし、皆が同じ目撃談を言う事、そして何より場所が樹海という事もあり、納得してくれたそうです。

「幽霊の方がまだいい。」
この話をした後、友人はそう言って続けます。

一度、訓練中に
「助けて」
という声が聞こえ、聞こえた方を見ると女性が近づいてきたそうです。
どうやら自殺しようと樹海に入ったものの、途中で遺体を見つけて怖くなったが戻る道が分からなくなり、たまたま見つけた自衛隊に助けを求めてきたそうです。

「あんな場所で女が『助けて』って言いながら近付いてくるの想像してみ?怖いとかいうレベルじゃねーよ。」
そう友人は言っていました。
その女性だけでなく、人影のようなものが動いてるのも見たことがあるそうです。

「多分、生きた人間だったと思う。生きた人間だとしても、仕事以外であんな場所に入る奴なんてまともじゃない。幽霊でも人間でも、どっちにしてもヤバい事には変わらない。
先輩が言うには、自殺者の遺体から金目の物を奪うのを目的に入る奴もいるらしい。」

私は樹海というと自殺の名所というイメージしかありませんが、樹海は浮かばれない魂だけではなく欲望も漂う場所なのかもしれません。

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