恐怖の泉

心霊スポット「常紋トンネル」

常紋トンネル(じょうもんとんねる)とは、JR北海道石北本線の生田原駅と金華駅の間にあるトンネルです。
トンネルと言えば怪談話が絶えませんが、ここは本当にヤバいトンネルで、幽霊が出たといっても納得してしまう黒い歴史があります。

1914年に開通したこのトンネルは、「タコ部屋」という人権を無視した凄惨過酷な労働環境で完成しました。
しかしその事実は明るみには出ることがなく、噂として「タコ部屋労働者によって作らた」「人柱が埋まっている」という話が伝わっていました。
当然のごとくトンネル内や周辺では怪奇現象が絶えず、鉄道員や周辺の住民は忌み嫌っていました。

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そして1968年(昭和43年)、ある出来事が起きます。十勝沖地震です。
この大地震で常紋トンネルの壁面が損傷したため、1970年(昭和45年)にその改修工事を行ったのですが…その時壁の中から、立ったままの人骨が発見されたのです。人骨の頭部には外傷がありました。
その後トンネルの入口付近やら山の斜面やら、ありとあらゆる場所で大量の人骨が発見され、トンネルにまつわる噂が事実だということが判明しました。
常紋トンネルの完成までに犠牲になった方は、百人を超えるとも言われています。
現在ではトンネル工事殉難者追悼碑が建てられ供養はされていますが、常紋トンネルでの怪奇現象は続いているようです。

北海道はこのような血塗られた歴史が多く、犠牲の上に成り立っている土地だということを忘れてはなりません。そして二度と同じ過ちを繰り返してはなりません。
合掌。

【常紋トンネルの場所】

常紋トンネルの怖い話

氷雨降るある日の夕方、いつものように蒸気機関車が、あえぎながら真っ暗な常紋トンネルに入ると

「あっ、危ない!」

突然機関車の前に頭からダラダラと血を流した男が立ちはだかっていたのでした。
機関士は、あわてて急停車し、すぐさま機関車から降りて調べてみたのですが、あたりには人っ子一人おりませんでした。
何かの見間違いかと思った機関士は、再び機関車を走らせ、しばらくすると、また、あの血だらけの男が立っていたのです。
その機関士は、再び急停車するのですが、その男の血だらけの形相が目に焼き付き離れず、とうとう目をつむったまま、機関車を発車させることができなくなってしまったのです。
そしてとうとう、後から来た列車の機関士がかわって動かさなければならない事態に陥ってしまったのです。

話は、常紋トンネルだけではありません。
トンネルの近くにある常紋駅にも奇妙なうわさが広まっておりました。

常紋駅に勤めると、しばしば本人や家族の者がノイローゼになったり原因不明の病気にかかったり妙なことが起こりました。
また、ある駅員の奥さんが何の前ぶれもなくトンネルの中で列車に飛び込み、自殺するという痛ましい事件も起こりました。
常紋トンネル付近では、多くの人々が何やら低くて息苦しそうな、うめき声のようなものを聞くこともあったと言いますし、近くの山に山菜を採りに入った人々が草むらの中で人の頭蓋骨や手足の骨など骸骨に足をとられることもあったと言います。

常紋トンネルには幽霊がいる。常紋トンネルはたたられた。常紋トンネルはうめしや。
幽霊たちはここかしこ、寂しく野辺をさ迷い歩く。

ろくな飯を食わせてもらえず、栄養失調で死んだのはおいらさ。
病にかかると用無しと、生きたままセメント樽に投げ込まれたのはおいら。
わが屍は葬られることもなくトンネルの壁に塗りこめられたのはおいら。
そんな地獄を逃げ出すが、やがて捕まり頭をかち割られたのはおいらさ。

そんな幽霊たちの正体は、危険・困難・難関工事、安くて手軽に使い捨て。
かつてこの地で働いた囚人労働者たちの悲しき末裔。
よそでだまされ雇われた「タコ(他雇)」労働者たちのなれの果て。

そんな百数十体の魂は、常紋あたりで「姿」を現す。
恨み辛みの魂は、うめき声をあげずにはいられない。
そんな彼らの魂たちは、時空を超えて訴えた!

引用元:常紋トンネルの幽霊たち


以前…と言っても10年以上前の話ですが、現役バリバリの鉄チャンだった頃の実体験です。

北海道の北東地域、オホーツク海に面した街、網走から夜行列車に乗って札幌へ向かう途中でした。
ご存じの方も多いでしょうが、タコ部屋と称する強制労働従事者により敷設された石北本線という路線があり、その中でも常呂地域と紋別地域を結び山を越える常紋峠という難所がありました。
ここはとにかく陰惨な話には事欠かない凄いところでして、日中はそこで撮影したのですが人気のない山の中で常に視線を感じるという思い出すのも嫌な場所でした。
ちなみに私は霊感と呼ばれる感覚が一切ありません。

夜行列車は留辺蘂という駅で若干停車した後、峠に向かってゆっくりと高度を上げていきます。
常紋峠のクライマックスに挑む直前、最後の駅である金華駅に着いたとき、なぜだか列車が停車しました。
ダイヤ通りで有れば通過な筈だが…と思っていたら程なく発車、たまたま通りかかった車掌氏に事情を聞くと、走行中ブレーキ系統に異常が出たと警告表示が付いたので運転士が停車させて点検したとのこと。
ブレーキのテストを行ったら問題無かったので発車したと答えた。
しかしこの時の車掌氏、決してこっちを見ず、その上何かに脅えている様子がはっきりと分かってしまった。

この時点でマズイ!と思ったんだけど、顔には出さず静かに荷物をまとめて自分の寝台に潜り込みました。
その時は寝台を確保していたのですが私を含めて3人しか乗客が居なかったのです。
怖いという感情が押し寄せてきて、毛布を隣の寝台から拝借し2重に被って寝てしまう努力をしました。

やがて列車は速度を落とし、長い編成はカーブに沿って右へ左へ曲がっていきます。
エンジンの音が轟きジョイントを越えるリズムはゆっくりになっていきました。
ややあってまもなく峠の頂上か?と言うところまで来て列車が急激に減速、急ブレーキに近い状態で止まるのではないか?と思ったほどです。
しかし列車は止まらず先頭の運転士が警笛をバンバン鳴らしながら、列車は加速を再開しました。

その時は咄嗟に「あぁエゾシカでも飛び出したか」と思ったのですが、歩くような速度で坂道を上りきり頂上のトンネルへ突入したのです。
その道ではつとに有名なオカルト現象頻発トンネルの常紋トンネルへ…

トンネルに突入した後もなぜか運転士は警笛を鳴らし続けていました。
トンネルの中までエゾシカが?と思っていたのですが、やがて只ならぬ気配に気が付きました。

寝台車の中が急激に生臭い・・・と言うか汗くさいというか、何とも言えない臭いで充満してきました。

そして…今でも忘れられない音…

ガシャともグシャとも付かない割れた陶器を布袋に入れて床に落とすような、そんな音が寝台車の通路を通過していきました。

やめればいいものを、そう思っても後の祭り。警笛が響き渡り列車のエンジンが唸っている状態でふと毛布から頭を出してカーテンを少しだけめくって、廊下を覗いてみました。

なんであんな事をしたんだろう?
本当に今でも後悔しています。
なんであのまま毛布を被っていなかったんだろう。

廊下に点々と水がこぼれていた、と言うよりハッキリ足跡状態になって続いてました。
寝台車の構造をご存じの方なら分かると思いますが、寝台の中からは廊下の隅まで見る事ができません。
しかし、廊下の頭上、窓の上の部分に小さな鏡が付いているのですが、そこに写っていたのは「黒い影」でした。
その黒い影が廊下の奥の方へすーっと消えていったんですけど、やはりガシャともグシャともつかぬ音が響いてました。
そして、その影が廊下の隅へいったとき列車はトンネルを抜けたのですが、その黒い影が何故か振り返ったように思えたのです。
まるでトンネルを振り返るように…です。

本当に怖い状態になると人間身動きがとれなくなると言うのを実感しました。やがてその黒い影がすーっと消えたのです。
なんて言うのかな、フォトショップとかで画像の透明度を変更して背景が影越しに見えるというか、そんな感じ。
やがてほぼ消えると思った瞬間、凄い速度で…窓の外を流れる景色と同じ様な速度で廊下を駆け抜け…と言うより横に吹っ飛んで消えたんですけど、自分の目の前を通り抜けるとき、なぜだか、本当になぜだか知りませんが、その影の顔がこっちを見たような気がしたのです。
と言うのも、まさに感覚的な物ですが、目と目があったような気がしたんです。
なんて言うのか、そう、恨みのこもったような眼差しを感じました。
それで何かもう心底怖くなって石のように固まってました。

しばらくして我に返ったときは車掌さんが廊下から声を掛けたときです。

「お客さん…見ましたか?」

でした。
大丈夫ですか?ではなく見ましたか?と声を掛けられました。

車掌氏は慣れた手つきで廊下の水を拭き取ってました。それって…そこまで言ってから声が出なくなりました。
ふき取ったティッシュがほんのり赤かったのを見たからです。
車掌氏はどこか遠いところを見るようにボソッと

「金華で臨停するときは100%出るんですよ」

と言って車掌室へ消えていきました。
その顔は青ざめきっていて、まるで人形のようでした。

峠を越えた列車は速度を上げて坂道を下っていきますが、いつの間にか警笛は鳴らなくなっていました。
ただ、なんかいつもより速いなぁと思っていたのですが、それよりも動悸が収まらず寝台の中で小刻みに震えていました。
やがて列車は遠軽と言う駅に到着しました。

なんか喉が無性に渇いたので駅のホームの自販機で缶コーヒーを買ったのですが、ちょうどそこへ運転を終え交代した運転士さんが通りかかりました。
「峠の上でシカでもいたんですか?」
と声を掛けたんですが、運転士は力無く笑って
「いや、シカではなかったです」
とだけ言って詰め所に入ってしまいました。

現場の運行スタッフも嫌がる常紋の恐さを体験した夜のことです。これは誓って実話です。

終わり

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