恐怖の泉

実話系・怖い話「鳴り止まない踏み切り」

これは私が大学生時代の時に遭った恐怖体験です。

大学に入って、私と同じような趣味(ゲームや麻雀)を持つSという男性と仲良くなりました。
丁度、格闘ゲームのス○リートファイター2が流行っていた頃です。
Sは2DKの賃貸マンションで一人暮らしをしており、学校帰りにS宅へ寄って遊んでから帰る事をしていました。

そんなある日、S宅へ私と新たに出来た友人Tの3人で泊まる事となりました。
前期の試験が全部終了した後で、明日から夏休み!という日でしたから、徹夜でゲームをしようって事になったんです。
遊ぶなら多人数の方がきっと楽しいですからね。

Sの家に集合したのは夜20時ぐらい。
ところが問題が発生します。
TがSのマンションへ入ろうとしないんです。

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「どうした?早く行こうよ。」
そう声をかけても、Tは「うん…」と歯切れの悪い返事をして歩を進めません。

当時の男子大学生の一人暮らしなんて、安っぽいボロアパートで間取は1ルームとかが関の山。
なのにSはお高めのマンションでしたし、Tが気後れでもしたのかな程度であまり気にしませんでした。
しかし一度Sの部屋に上がってしまえばそのままゲーム大会へ突入し、深夜1時半ぐらいまで盛り上がりました。
いくら好きな事とはいえ、そんな時間までプレイするとゲーム疲れが出始め、もう寝る流れです。
Sはベッドで、私とTはカーペットの上でゴロ寝をしました。

カーン!カーン!カーン!

眠ろうとしてからどのくらい経ったのか分かりませんが、踏み切り音が聞こえて起こされました。
あぁ…そういえばすぐ近くに踏み切りがあったな…。
そう思いながら時間を見ると、夜中の2時です。
なかなかの迷惑音だな、と思いつつも再び眠るため目を閉じます。

ところがです。
このカンカンという踏み切り音が、一向に鳴り止まないんです。
おかげで眠れず、いい加減目が覚めてきましたし、イラついてきてました。

なんだよこの長い踏み切りの音は!
Sはよくこんな所で毎日眠ってられるな。
そういえばここは家賃安く借りれたって言ってたけど、この踏み切りのせいか?
イライラした頭であれこれ考えます。
様子を確認しに窓から外を見てみるも、真っ暗です。

ここで違和感を覚えました。
こんな時間に電車が運行しているのでしょうか?
終電は夜中の12時くらい、始発も5時かそこらです。
どうなっているのかと思っていると、体を起こしたTと目があいました。
どうやらTも異変を感じて目が覚めたようです。

Tは口を半開きにして、暗くて顔色は確認できませんでしたが恐らく真っ青だったと思います。
「お前も聞こえたか?」
と言うTに、私は
「踏み切りの音?」
と返事をすると
「そう。」
と答えるT。

Tに促されるまま、一緒に立ち上がって窓の外へと目をやります。
すると踏み切りのランプは赤く点滅をしてバーが降り、作動していました。
でも電車が来る気配は全くありません。
故障でもしたのか、と思ってそのまま見続けてると、踏み切りのバーの前に黒い影がいくつも見えました。

でもその影は、妙な事に踏み切りのランプで照らされてはいるのに、モヤがかかった感じでハッキリと見えません。
ん?と思って凝視しようとすると、Tから引っ張られて「やめとけ」と言われました。
Tは
「多分、今見聞きしてるものはヤバイ物に違いない。
もしアレと目があったりしたらヤバイから、もう見るな。
時間が過ぎるまで寝るぞ…。」
と言って横になったので、私も横になりました。

踏み切りの音はしばらく鳴っていましたが、鳴り止んだ後も私は眠る事が出来ず半ば徹夜状態。
翌日のゲーム大会は盛り上がらず、昼前には解散して帰路につきました。

帰りは私とTの2人だけだったので、当然昨晩の話となります。
TはSのマンションに着いた時から、違和感を覚えていたそうです。
Tには霊感があり、マンション近くの踏み切りから得体の知れない雰囲気を感じていたのだとか。
なのでそのすぐ近くにあるマンションへ入るとなり、ちょっとビックリしたそうです。
そして夜、やはり違和感の通りに踏み切り音が鳴り出します。あれは現実で鳴っている音ではないそうです。

後からわかったのですが、Sのマンション近くの踏み切りは屈指の開かずの踏み切りとして有名な所でした。
通りたいのに開かない時間があまりにも長く、事故へ繋がる事が多かったそうです。

Sにはそういった体質が全く無いのか、普通に卒業までそのマンションで暮らしていました。その踏み切りはもう無くなっています。
私が霊的な体験をしたのはこれが最初で最後でしたが、今でも忘れられません。

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