恐怖の泉

実話系・怖い話「残業している幽霊の話」

知人に聞いた話ですが、彼の勤めている会社のビルは「出る」と言われているそうです。
特定のフロアだけに出るのだそうですが、そこには知人が所属する部署も入っていて、そのため何度もそれらしいものに遭遇したことがあるようです。

しかし知人曰く、お化けといっても大人しいものなんだとか。
残業をしていると、パーテーションの向こうから足音がしたり、マウスをクリックしたり、書類をめくったりする音が聞こえるそうです。
まるでそこに誰かがいて、同じく仕事をしているような雰囲気なのだとか。

自分の仕事が終わってもまだ気配がするので、挨拶してから帰ろうと覗くと、誰もいないのだそうです。
フロアを出入りするドアは一つしかなく、開け閉めすると音がするので、人の出入りがあればすぐわかるはずだと言います。

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一人ならまだ「勘違いでしょ?」で済むのですが、そのフロアにデスクのあるほとんどの人が、同様の体験をしているのだそうです。
時には給湯室の方で気配や物音がすることもあるそうで、何だか「死んでも仕事している人がいるのだろうか…」と考えて背筋が寒くなりました。
知人の話を聞く限り普通の会社で、たまに残業があるくらいでブラック企業でもないはずなのですが。

このようにごく大人しい幽霊?のようなので、そのフロアの人達は多少足音や物音がしても「またか」で済ませてしまっているそうです。
それよりも仕事が終わらない方が恐ろしいとか(笑)

ただ、一回だけ気味が悪いと思ったことがあったと知人が教えてくれた話がありました。

その時も残業をしていたそうなのですが、足音や仕事をしているような音はしなかったそうです。
ただ、どこからかカタカタという音が絶え間なく聞こえていたそうです。

気になるので音を辿っていくと、応接室に行きつきました。ドアを開けると、さらにカタカタという音が大きくなります。

何の音だろう?と音のする方を見てみると、壁際の棚に置かれた人形のケースがカタカタと震えていたのだそうです。

それが置かれている棚や床、壁には異常はなく、ケースだけが音をたてている風景にゾッとして、その日は早々に残業を切り上げたそうです。

その人形は古いもので、いつからあったものなのか、誰が持ってきたものか、誰も知らないそうです。
「社長とか、専務とかに聞いたら知ってるかもね」と知人は言っていますが、誰も聞く人がいないので、謎のままになっています。

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